東京手描友禅には大きくわけて三種類があります。
[手描友禅染め・蝋纈染め・無線友禅染め]
ここではその三種類の作品の制作工程を御紹介します。
[東京手描友禅染の工程表]
■手描友禅染め
- 構想
- 図案
- 下湯のし
- 下絵
- 糸目置き
- 地入れ
- 友禅挿し
- 糊置伏せ
- 引き染め
- 蒸し・水洗
- 上湯のし
- 仕上げ
- 完成
■蝋纈染め
- 構想
- 図案
- 下湯のし
- 下絵
- 蝋描き
- 友禅挿し
- 蝋置伏せ
- 引染め
- 蒸し・脱蝋・水洗
- 上湯のし
- 仕上げ
- 完成
■無線友禅染め
- 構想
- 図案
- 下湯のし
- 引染め
- 下絵
- 無線描き
- 蒸し
- 上湯のし
- 仕上げ
- 完成
【友禅染用語説明】
【下絵】
模様を染めるために仮縫いの白生地や付け下げなど、長尺の生地に青花液えを筆に含ませて、構想、図案通りの模様を線描きします。青花液の原料は露草の花汁。水で洗うときれいに消えます。
【糸目置き】
染料が模様の他の部分ににじむのを防ぐため、糯糊(もちのり)、ゴム糊などで生地に下描きされた輪郭や線に添い筒紙に入れた糊を押し出しながら生地の表面におきます。染め上がったとき、糊の線が糸を引いたように白く残るので「糸目」呼ばれています。
【友禅差し】
地入(糸目糊を生地に密着させる工程)がすんだ糸目糊の内側の模様に小さな刷毛や筆で染料液を色をさします。染料の色合わせと全体の色調を整えたり、染料の持つ性質を考慮するなど、最も重要な工程です。
【引き染め(地染め)】
生地の地染めをします。大刷毛に染料を含ませて染料液を均一に総体に染めつけます。大刷毛、小刷毛を使って種々のぼかし染めをする技法もあり、高度の技術を必要とします。
【仕上げ】
染め上がった模様の部分を、完成品にするために筆や刷毛などで補正して仕上げます。仕上がったものを一層引き立たせるため、部分的に金銀箔などを固着させます。
【紋章上絵】
もともと家を象徴した標である家紋には、正紋、裏などがあります。染め上がりの品で家紋を必要とする時は紋章上絵を手描します。
参照 東京都工芸染色協同組合より